山古志のコト

バスで行く山古志。車所有者にもおススメしたいバスの旅

「山古志へは車がないと行けない」「山古志で暮らすには車が欠かせない」という言葉はよく聞きます。実際に山古志近郊、長岡市に暮らす人々でさえそう思っているかもしれません。しかし本当にそうなのでしょうか。車を運転できない人には縁の遠い地域なのでしょうか。

実は、山古志へは車を運転しなくてもアクセスできるのです。今回は実際に筆者自ら、長岡駅から山古志の中心地ともいえる山古志支所までバスを駆使して行ってみました。

バスでも行ける山古志

先ず最初に確認しておきたいのですが、長岡駅から山古志へ(その反対も)直通で行けるバス便はありません。二つのバスを乗り継ぐ必要があります。一つ目は「越後交通バス」の「宮内線」。二つ目はNPO法人中越防災フロンティアが運営する「クローバーバス」の「村松線」です。

無事に山古志へ着くには乗り継ぎ接続も考慮しましょう。乗り継ぎを間違えると数時間、バスを待たざるを得なくなってしまいます。クローバーバスを運営するNPO法人中越防災フロンティアが発行している時刻表が、乗り継ぎにちょうどいい越後交通バスの時間も記載しているので、とても分かりやすいです。

▼時刻表
http://c-bosai-frontier.jp/communitybus/190401timetable01.pdf
▼運行ルート図
http://c-bosai-frontier.jp/communitybus/190401timetable02.pdf

この時刻表によると、午前中に山古志へ行くには[7:35 長岡駅東口 発][8:25 山古志支所 着]に乗るしかないようです。それを逃すと次は[14:35 山古志支所 着]になってしまいます。ちなみに、東京駅からだと始発の新幹線に乗っても長岡着は7:49。惜しくも間に合わない!

そして山古志支所から長岡駅への終バスは[16:30 山古志支所 発][17:25 長岡駅東口 着]となっています。

また、運行ルート図も併せて見て頂くと分かりやすいですが、山古志地域内を運行するクローバーバスは[山古志支所]を基点に[岩間木線][小松倉線][種苧原線]と3路線に分かれています。[村松線]も合わせ計4路線で、広大な山古志地域に点在する各集落をきめ細かくカバーして運行しています。

長岡駅東口バスターミナルで、越後交通バスに乗ろう

長岡駅構内。ここを左に曲がると東口バスターミナルがある。

長岡駅からバスで山古志へ行く第一ステップ、先ずは長岡駅東口バスターミナルへ行きましょう。長岡駅は大手口と東口があり、どちらにもバスターミナルがあるので要注意です。


東口バスターミナルにはバス乗り場がいくつかありますが、山古志へ方面へ向かうバスは[7番乗り場]です。

越後交通バスは「後乗り前降り方式」で料金は降りる際に整理券とともに支払います。このバスは長岡駅が始発のため、整理券は取らずにOK。

[長岡駅東口]から乗り継ぎの[村松回転場]へは乗車時間25分、運賃330円。バスの車内でも両替は出来るますが、あらかじめ小銭を用意しておく方がベター。

始めは街なか、住宅街を走行するも徐々に山あいに入っていきます。

[村松回転場]に着くとすでにクローバーバスが待っていました。クロバーと言うだけあって、グリーンの挿し色が車体に入っています。

クローバーバスの乗り方は上で紹介した運行ルート図に詳しく書いてあります。乗車時に運賃を支払って、運転手に降りる場所を伝えます。

バスの中はこんな感じ。座席数は十数席で、座席はけっこう柔らか。山道の多少の揺れはまったく気になりませんでした。空調もばっちり効いており、取材当日外は肌寒かったものの車内は快適な暖かさでした。

各座席にはドリンクホルダーも。

運転席と助手席の間に置いてある、クローバー色のこの箱に乗車料金を入れます。

険峻な山々と棚田が織りなす絵画のような景色でも有名な山古志地域なだけあって、バスからの車窓も圧巻の綺麗さ。

普段からクローバーバスに乗る地域住民からすると見慣れた景色かもしれませんが、初めて訪れる人は終始車窓にくぎ付けになるのでは。

景色に目を奪われているうち、バスは[村松線]終点の[山古志支所]へと到着。[村松回転場]から[山古志支所]へは乗車時間25分。長岡駅から山古志支所へは合計50分でした。

どうでしょうか、意外と早く着くと思いませんか。車を運転しなくても長岡駅から山古志の中心エリアまで一時間かかりませんでした。

乗車料金は[長岡駅東口]から[村松回転場]までが330円。[村松回転場]から[山古志支所]までが200円。合計で片道530円。

奥に見えるのが山古志支所。手前が「やまこし復興交流館 おらたる」。その隣には山古志体育館があります。

山古志支所からバスに乗る際は、写真のところにバスが来るのを待ちます。山古志支所から乗り継ぎする際もここでバスを待つ。

山古志住民の生活の足、クローバーバス

取材では一往復しか乗らなかったクローバーバスですが、それだけでも多くの山古志地域住民がこのバスを利用しているのを垣間見ました。交通弱者となりがちな高齢者や子どもの生活の足として、買い物、通院、通学に欠かせない存在であるようです。

そもそも以前は山古志まで路線バスは運行されていいたものの、中越地震による人口減少によって運休・減便され、平成19年についに廃止された過去があります。クローバーバスは山古志住民の暮らしを守るため、路線バスの代替としてNPO法人中越防災フロンティアが運営しています。

生活に欠かせないバスを地域住民、全国からの支援者、行政機関、NPO法人中越防災フロンティアの4者で支え合うという仕組みをクローバーの4枚の葉に見立てたことなどに「クローバーバス」の名前は由来しているのだとか。
※参考 http://c-bosai-frontier.jp/communitybus/outline.html

おわりに

車を運転せずとも山古志へは問題なくいけました。車の運転ができないからと山古志へ訪れることを敬遠していた方々は、ぜひ一度バスを乗り継いで山古志へ行ってみてください。「こんな簡単に行けるのか」と拍子抜けすることでしょう。

車を運転できる方にも、一種の観光としてバスによる山古志来訪はおススメです。ふだんよりもゆっくりとした速度で、車窓に目をやって。乗り合わせた地域住民の会話に少し聞き耳を立てて。車の運転では味わえない特別な“旅路”となるはずです。

新幹線も停まる長岡駅から50分、春夏秋冬いつでも格別な絶景が待つ山古志は意外と身近にあります。ぜひ一度行ってみてくださいね。