ふきのとう
早春、僅かに現れた黒々とした土を割って、懐かしい緑色をのぞかせるふきのとうは、真っ先に春を告げる野の使者である。
冬の寒さに耐えて育つ早春の野草は、アクが強く、苦味を含んでいて、香りもまた強烈である。
この苦味をそのまま生かして、固い蕾を姿のままか、二つ割りにして火に炙り、練り味噌を塗って食べるのが最高の味という人もある。
<調理例>ふきのとうの天ぷら、ふきみそ、ふきのとうの佃煮など
たらのめ
新芽を茹でて、天ぷら、おひたしや和え物、鍋物などにするとおいしい。山菜の中でも特有の香りと味があるので、非常に美味しいものである。
<調理例>たらのめのおひたし、たらのめの天ぷら、たらのめの和え物、塩漬け、卯の花漬けなど
きのめ
あけびの芽を摘んだものをきのめと呼んで、春の山菜でもとりわけ珍重される。
新鮮なきのめをサッと茹でたものに卵黄と醤油を添えて食べるのは最高の味とか。
若向きにはマヨネーズソース和えも喜ばれる。ほろ苦いところが何よりの持ち味。
みずな
山沢や山林など比較的日陰になる湿った場所を好んで自生する。
5月頃から初夏までが採り頃。
葉をこき落として軽く茹でたものを適当に切り、ひたし、酢の物、油煮、汁の実など。細かく刻んで味噌和え、辛子和えにもする。
一種のぬめりがあり、トロロクサの別名がある。
こごめ
クサソテツというのが正式の名前。
ぜんまいのように巻いた若芽を食用にする。鮮やかな緑の結晶、かるいぬらめき、特有の香りが魅力で、アクがないので、そのまま調理できる。保存法として、塩漬けやおから漬けがある。
<調理例>ごま辛子和え、くるみ和え、マヨネーズ和え、酢の物、天ぷら、ピーナツ和えなど
葉わさび
山の平の湿地帯によく生育する。
葉・茎の部分を使うが、中指台になっている芽も、すりおろして使うと最高の風味がある。
山うど
山うどは、普通4〜5月ころから出るが、雪解けの遅い奥山では6月まで採取される。
香りを楽しむ代表的な山菜。
根は昔から神経痛・頭痛・強壮・解熱などの薬用効果が高いとされている。
生のものの料理は勿論のこと、塩蔵しておいて、味を楽しむ。
塩蔵方法は山菜一般と同様にする。
<調理例>天ぷら(茎より普通は切り捨ててしまう葉がうまい)、フライ、茹でて酢味噌和え、甘酢漬け、ごま味噌和え、白和え、卵とじ、味噌漬け、粕漬け、うどの葉の油炒めなど
ぜんまい
ぜんまいは山菜の中でも、乾燥させて保存する代表的なもので、昔も今も希少価値が高い。
田植えのときには、どこの家でも沢山煮ておいて、来客のもてなしに供した。お産見舞いに行くとき、産婦のご馳走として持参する習わしもあった。
<調理例>ぜんまいの煮物、ぜんまいの白和えなど。
(引用元:山古志 食・農研究隊『四季の味 やまこし』2009年)